山歩き≪白馬岳≫

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1985.06.・・〜・・  「白馬岳」
(長野県北安曇郡)


 もう20年以上前のことになりますが、6月に思わぬ休みが取れることになり、白馬岳から鹿島槍ヶ岳への縦走に出かけました。
 初日は、雲一つない快晴だったものの、2日目以降は、天気が下り坂となり、3日目には10年ぶりという6月の吹雪に遭遇し、唐松岳への「不帰の嶮」を前に引き下がってきました。天狗の小屋で2泊ほど沈し、下山となった苦い思い出です。
【準備・食料】
 食料担当で用意した食料がこれです。当時から食事は貧相で、インスタントラーメンが多かったようです。(^_^;)
【白馬大雪渓】
 信州へは、夜行列車で行きましたが、白馬登山の興奮と列車の固い床や揺れのため、睡眠不足のまま白馬駅へ到着。
 猿倉へは、バスで進出。白馬尻で12本歯アイゼンを装着し、いよいよ大雪渓の始まりです。


 大雪渓を登った初日は、快晴に恵まれました。大雪渓の雪の白色と青い空、理想的な山歩きを満喫できました。
 雪渓で滑落訓練などをしながら、ゆっくりと登っています。


 大雪渓には、スキーヤーが10名ほどおられましたが、梅雨時の平日とあって、登山目的で大雪渓を登っている方は、おられませんでした。
 槍ヶ岳のように天を突き刺す天狗菱がとってもカッコいいです。(*^_^*)
【白馬岳】
 長い雪渓は終わったものの、頂上が見える頃は、バテバテで憧れの白馬岳頂上がなかなか近づきません。ヨロヨロとコースを外れてお花畑を踏まぬよう、疲れながらも慎重に歩を進めます。

 やっと、念願の白馬岳(2932m)の頂に立つことができました。友人と交代しながら、白馬岳山頂での記念撮影です。
【テント場】
 ホトホト疲れました。テントを張る元気もなかったのですが、最後の元気を搾り出してテントを設営。
 食事もあまり喉を通らず、スキムミルクのとても美味しいこと・・・。(^_^;)
【2日目】
 朝、目覚めると天気がイマイチでした。しかし、今日は、今行程中、最大の山場である「不帰の嶮」を控えています。
【白馬岳】
 白馬岳山頂をバックに記念撮影し、白馬岳を後にしました。
 今日の行程は、不帰の嶮を越えて、唐松岳のテント場まで、少しスリルはあるものの、稜線歩きなので、そんなに体力は消耗しないでしょう。気楽にゆっくりと歩を進めます。
【杓子岳】
 白馬岳が随分遠くなりました。
 もう、白馬の山頂に立つことで、一旦は元気が出たものの、ヘロヘロ状態は変りません。
 杓子岳山頂は求めず、巻き道を選択しました。もちろん、誰からも反論はありません。(^_^;)


 遠く立山を望みながら、立山連峰や後立山連峰の山域の深さに感服しています。これぞ、アルプスといった感じです。
【天狗ノ頭】
 標高2812mの「天狗ノ頭」に到着。
 この頃には、遠くの空が黒くなり始め、付近も雲に覆われ、周囲の山が見えなくなってきました。


 天気は、悪化の一途です。しかし、まだ時間が早いので、「行けるところまで行ってみようよ。」ということになりました。
 このとき、誰も口にはしませんでしたが、それぞれが、このまま進むかどうか迷っていたようです。(^_^;)
【帰らずの嶮】
 唐松岳に続く、「帰らずの嶮」を望むところまで来ました。しかし、一段と真っ黒になっていく空に一同不安を感じ、会話がほとんどありません。


【天狗ノ大下り】

 天狗の大下りを下り始めたところです。しかし、強い風が吹き始め、天気は更に下り坂の模様です。
 このまま、不帰の嶮を通過するのは、危険が多く、唐松に辿り着いたとしても、身動きが取れなくなると判断。今日、出発してきた天狗山荘まで戻ることにしました。(-_-;)


 天狗の大下りは、天狗の大登りに姿を変えて、我々の目の前に立ち塞がっています。さらに、強い風も強敵です。
 それにしても、スイスイと下ってきた道を登るのは、精神的に辛いものがあります。もう少し早く、Uターンを決断すればよかったな〜・・・。(-_-;)
【天狗山荘】
 天狗山荘前のテント場に、一旦はテントを設営しましたが、かなり大きな低気圧が接近中のようで、強風の中、猛烈な突風が頻繁に襲ってきます。これではテントが持たないと判断し、開設準備中の小屋の中に入れていただきました。それも無料で・・・。<(_ _)>

 営業前の小屋には水もありません。雪を暖めて水を作らないと食事が始まりません。食事をするのに、いつもの3倍ほどの時間がかかりました。
 小屋では、何もすることがなく、吹雪と突風が窓ガラスを叩く中、食事を採る以外は、ラジオを聴きながらゴロゴロと寝てばかりです・・・・


 翌日、吹雪の中を下山しようと、一旦は進んでみたものの、時折り襲う強い突風は治まっていません。目の前が真っ白で何も見えません。3歩ほど進んで後ろを見ると自分の足跡さえ見えないほどです。
 稜線で友人が3〜4mほど吹き飛ばされたことで、下山を中止し小屋に戻りしました。小屋を出てから15分程度しか進んでいませんでしたが、小屋の位置が分からず、戻るのに3時間ほどかかりました。(_ _|||))
【下 山】
 10年ぶりという吹雪は、なかなか収まらず、小屋には2日間お世話になりました。5日目には、何とか雪も止み、曇天ながら天候も回復の兆しを見せ始め、やっと下山できそうな天気になりました。


 下山中の写真ですが、どこを写したものなのでしょう。今となっては、全く分かりません。(_ _|||)
 今見ると、雲に覆われた白黒の世界もいいと思いますが、当時は不安一杯で歩いていて、景色など目に入っていなかったと思います。(-_-;)


【雷 鳥】
 久しぶりに動く生き物に出会いました。(*^_^*)
 この季節の雷鳥は、もう夏羽になっています。


【大雪渓】
 大雪渓では、この2日間の吹雪の間に落石があったようです。登るときは、あんなに白かった雪渓が、土で茶色に汚れていました。

 登るときは、辛かった大雪渓ですが、下りはスタンディング・グリセードでアッという間に高度を下げます。もう少し楽しみたいと思うくらい、雪渓を一気に下ってしまいました。(*^_^*)


 山を降りるときの写真は、あまり残っていませんでした。かろうじて、この数枚が残っているだけです。(^_^;)
 大雪渓も終わりに近づき、友人たちは、安堵の一服を楽しんでいます。

 今回は、山の怖さを改めて教えられた山行きとなりました・・・。



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